周りと比べると何かちょっと違うと感じたり、うまくいかないことが多く、なんとなく生きづらかったりすると思っている方がたくさんいらっしゃいます。その原因は心の問題や病気などではない可能性が高いです。
一人ひとりによって個性は異なりますが、特に得手・不得手が極端であったり、周りの人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、ミスがやたらと多かったりするのは、発達障害の一つの特徴でもあります。そうでない場合も含めて、発達障害の特性に当てはまるかどうかを6つの項目のチェックリストでチェックできます。今回はその6つのポイントを押さえてご紹介していきます。
- 落ち着きがなく注意を持続することが難しい、または困難である
子どもの場合は、映画館などの静かな場面でも落ち着きがなく、つい騒いでしまったり、お出かけしていても何か気になるものを見つけるとそちらへ走り出してしまったりなど、非常に落ち着きのない行動を取ります。授業中などの急に席を立って立ち歩くのもこれにあたります。たとえば、教室でメダカなどを育てていたとしましょう。本人がついメダカが気になって水槽の目の前まで歩いていき、メダカの鑑賞に神経が行って授業に全く集中できないというような行動を取ります。周りからすれば一見ただのわがままに見えますが、本人は授業を集中して聞くという行動を取ることが難しいのです。また、大人になってもいつも貧乏ゆすりなどのように体をつい動かしてしまったり、机を指で何度も叩く仕草をしたりなどして落ち着きがない場合です。たとえば、静かに観賞しなければならない映画館や演奏会などでも落ち着きのない行動をつい取ってしまう傾向があります。 - 気が散りやすい、集中力が続かない
与えられた課題があり、取り組んでいる途中で別のことについ手を出してしまうケースです。勉強中に、突然絵を描き始めて、勉強が全く手つかずの状態になったりするようなことがあります。大人になってからも、マラソンを始めようといったん取り組もうとしますが結局飽きてしまい、今度はピアノを始めてみようという風に別のことへ興味がそれてしまうというケースも該当します。 - 失くし物や忘れ物をしやすい
日常的によく使用するものを忘れてしまうことや失くしてしまうことがよくあります。これはワーキングメモリの働きに問題があることが多く、今しなければならないことを記憶しておくことができずに、新しい刺激のほうに神経が行って、結局本来やらなければならなかったことを忘れてしまうというものです。子どもであれば、宿題などを忘れてしまったり、学校で使う用品をすぐ失くしてしまったりなどがよく見られます。大人になってからも、日常的に使うスマホをよく失くしてしまう場合や大切な予定を忘れて別の予定を入れてしまうなどのケースが見られます。物忘れが多い方もいらっしゃいますが、度を超えた物忘れや失くし物の多さですので単なる物忘れとは少し異なります。物忘れのひどさは、手帳やスマホのカレンダーアプリなどを使うことで対処することもできますし、できることは後回しにしないようにするなどの心掛けで対応できることがあります。 - ルールを守ることが難しい
物事の一般的なルールを守ることが困難な場合です。特に順番を待つというのが苦手な方が多く、そのまま割り込みしてしまうケースが見られます。公園の滑り台で順番を待てずにそのまま登って、ほかの子を押しのけて滑ってしまうなどのケースが幼少期ではよく見られます。先生の指示なども周りに合わせて行動することができず、別のことをしてしまい、我慢することができない状態です。ルールを守ろうと思っても衝動的に行動してしまうようになります。 - 指示は理解できても、従うことが難しい
静かにしていなければいけない場面で、先生などに静かにするように指示を受けても従うことができずに話し続けてしまうなどのケースが見られます。またこちらを向くようにと指示があっても、一人だけ違う方向を向いてしまうなどということもあります。たとえばこれは聞こえていないわけではなく、本人にとっての優先順位が指示よりも上回っていることがあるからです。たとえば指示を受けた際に、机の上に一匹のアリが歩いてきました。そのアリの行方が気になって、先生の指示や話よりもついアリの動向が気になって、言うことが聞けなかったということがあります。もちろん不注意で指示は理解できても、まったくほかのことを考えていて話を聞いていないこともあり得ます。 - 事前によく考えて行動できない
物事をすぐ見た目で判断し、ミスをしてしまうことが頻繁に見られるというケースです。発達障害を持つ方は、あまり順序立てて行動することができません。そもそもが物事をじっくり見て考えるということができないのです。これが、ケアレスミスを招いてしまい、テストなどでもうっかりミスしてしまうことや仕事でもケアレスミスを連発することにつながります。たとえば、期日までに仕上げなければならないような仕事を期日ぎりぎりになって焦ってしまい、結局ミスをしたり終わらせることができなかったりなどがあるのです。時間管理をすることが非常に苦手なため、よく考えて予定を立てることや時間を管理することができないのです。
発達障害にはさまざまな種類が
この6つはADHD・注意欠陥・多動症の疑いがある方のチェック項目です。ADHDは、知能レベルでは問題がないため見逃されがちな脳の障害です。また、周囲のフォローなどで幼い頃は特徴が目立ちにくい場合ややんちゃで落ち着きがないなどの個性だと受け止められるケースも少なくありません。しかし、自立して社会に出ると余計に自分で生活していくことの困難さを感じる場面が増えてきます。
ここで本人もひょっとしたら発達障害ではないかという疑念を抱くようになるのです。
6つのチェック項目にチェックが付いたあなたは、ひょっとすると発達障害のリスクを背負っている可能性があります。これらの特徴があると、どうしても周りからすぐ注意されたり、煙たがられたりして自分自身に自信を持つことさえもできません。子どもであれば、小児科や児童精神科、小児神経科などで診察、診断してもらうことできます。大人の場合は、精神神経科で診断が可能です。
発達障害にはADHDだけでなく、自閉症スペクトラムや広汎性発達障害などの障害もあり、医師に診てもらうことで特性の原因がわかることが多いです。ADHDに自閉症スペクトラムが合併している方も中にはいらっしゃいます。発達障害には弊害として、うつ病を発症するなどのリスクもあります。もし気になる症状があるのであれば、事前に診断を受けることで、障害に納得することができますし、肩の荷が下りたような気分になれるはずです。ADHDであれば処方薬で症状を改善することも可能です。
まとめ
発達障害はなかなか見分けがつけられないものの一つです。本人ではなく、親御さんがお子様の発達障害を疑った場合は、早めに対処することで適切な療育を受けることができ、一人ひとりに合った方法で成長を促すことができます。できる限り早期の療育が大きな効果をあげることができますので、気になる方は障害と診断されるのを恐れるのではなく、知ることで適切な療育が受けられ、それが本人の将来の生活につながると考えて行動しましょう。
すでに成人になっている御本人がもしチェックリストの項目に当てはまっているのであれば、ぜひ自分の特性の納得して適切な薬を処方してもらうなど対処していくとよいでしょう。